あえて増幅回路のみに注目し、電源回路を黙殺してきた2流真空管OTLの現状を正すには、やはり原点に戻って回路構成のウソと決別しなければなりません。

かつて重量軽減のためスイッチング電源で作った420V3,5Aの1,5kW電源は、軽くてよいのですが高周波スイッチングノイズが多く、特にアナログのカートリッジに対し数メートル離れても電磁波の飛び付きが出てしまうので納得いきませんでした。

そこで今回は通常の電源トランスを用いるにあたり、運搬時の重量配分を考えB電源トランス部、B電源フィルター回路およびヒータートランス部、そしてアンプ回路部の3分割構成とします。


            


特にB電源トランス部は20kgくらいになり、またフィルターおよびヒーター部も15kg程度と、まるでキロワットクラスの送信機のようです。たかだか24WX2程度のアンプとは言え、理屈に従って真空管OTLを作ろうとすると、こうなります。


             
             24Wx2用1kVA電源トランス部 送信管805はサイズ比較用
                低RL真空管OTLアンプの道はキビシイのだ!



今回はオーバーオールのNFBを掛ける予定ですが、特に無帰還でアンプを仕上げる場合を考え、リップルフィルターには巨大なカットコアの低DCRチョークコイルを用いる事にします。


             
             巨大チョーク 直流点火用では存在感があり過ぎる 重量8kg


実はその実物をオークションより入手した時、まさかこれほどデカくて重いとは思っていなかった為しばらく持て余していましたが、このアンプ製作で丁度良い機会を得たわけです。





トランジスタOTLに対し真空管OTLは3極管動作が多く、電源のリップルがプレート電流の変動となってそのまま出力に出てしまうデメリットがあります。

とは言え安易なリップルフィルターでは効果が少なく、逆に効果かあれば電圧降下が大きくなるため、かつては初段管にAC電圧をミックスして電源ハムを打ち消す荒業、つまりハムキャンセラーが多用されていました。


      


一方近年は高電圧でも対応可能なMOSFETによってリップルフィルターを構成できるので、一見大変便利に思えます。しかしここにトランジスタを用いると「それならそのトランジスタ電源をオーディオ信号で制御すれば真空管アンプ部分はいらないじゃん!」ということになって、結局何を作っているのかわからなくなります。

つまりパワーアンプとは一種の制御電源なので、トランジスタ制御と真空管増幅系の強いリンクを安易に行う事自体、本来の意味を危うくすると考えるべきであり、半導体活用はせいぜいドライバーまでか、出来うれば整流など非直線領域に留めておきたいものです。


       


また今後、打ち消しと局部帰還を前提としたOTL(このタイトルの本編)など、様々なOTLアンプの実験に際しても、このおおげさな電源を流用すれば効率的と考え、今回思い切って製作することにしました。




つづく







その3、実作に向けて
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